Header biddingソリューション「Prebid.js」とは?導入方法やメリットを詳しく解説

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Prebid.jsとは?

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Prebid.jsは、メディアがウェブ広告の収益を最大化するために開発されたオープンソースのHeader Biddingソリューションです。
Header Biddingとは、広告枠ごとに複数のBidderと呼ばれる、SSP(Supply Side Platform)やDSP(Demand Side Platform)から同時に入札を受け付け、最も高い価格で入札した広告を配信させる仕組みです。
Prebid.jsは世界で最も利用されているHeader Biddingソリューションであり、オープンソースであるため、多くのSSP・DSPが参画しやすく、またIDソリューションなど様々な機能が多く提供されています。

Prebid.js誕生の背景

Waterfall方式の限界

prebid.jsが誕生する以前の広告配信では、多くのメディアがWaterfall方式を採用していました。このWaterfall方式とは、広告枠が以下のような流れで販売されています。

Water Fallの図

図1:Water Fallの仕組み

  1. 最優先のSSP①に広告枠をリクエスト
  2. SSP①が入札しなかった、もしくはSSP①がFloorPrice以下の入札の場合に、次のSSP②にリクエストが移ります。
  3. さらにSSP②も入札がなかった場合に、次のSSP③もしくはフィラーとしているアドネットワーク等へ移り、広告枠が白板にならないように広告を埋めます。

この方式が主流でしたが、ここには2つの大きな問題がありました。

問題1 収益の最大化ができない

  • 2番目のSSP②が高単価(例:500円)で入札できたとしても、SSP②にリクエストが渡される前に最優先のSSP①が低単価(例:300円)で落札してしまうことがありました。(図1のSSP①)
  • Waterfallの順番が影響するため、順番が回ってこないSSP・アドネットワークは高単価案件があっても配信機会が得られないケースがありました。(図1のSSP③,アドネットワーク)

問題2 レイテンシー、非効率な広告配信

  • 上流から順番に入札・広告の返却待ちを繰り返していくため、タイムアウトや遅延が発生しレイテンシーが起きやすいです。
  • 結果的に、広告が表示されないこともあり、収益機会を損失してしまうケースもありえます。

Header Biddingの登場

このWaterfall方式の課題を解決するために登場したのが、Header Biddingという技術です。Header Biddingとは、すべてのSSPやDSPに対して同時に入札をリクエストし、最も高い入札価格を提示した広告をアドサーバ(Google Ad Manager)に渡し、Google AdXと単価の競争をさせた上でより単価の高い広告を表示する仕組みです。本記事で紹介するPrebid.jsや、Amazonの提供するTAM(Transparent Ad Marketplace)があります。

Prebid.jsの誕生

Header Biddingを簡単に実装するためにオープンソースでPrebid.jsが生まれました。prebid.jsのポイントとしては、オープンソースのライブラリのため誰でも利用が可能であると同時に、数多くのSSPやDSPがBidderとして対応しています。
このPrebid.jsを導入することで、メディアは最も高い価格で広告枠を販売できるようになり、収益の向上が期待できるようになりました。

Prebid.jsの図

Prebid.jsを導入するメリット

収益の最大化

Header Biddingの仕組みを活用することで、最も高い入札価格の広告が配信されるようになります。先ほどの例に沿って上げると、Waterfall方式では、2番目のSSP②が高単価(例:500円)で入札できたとしても、2番目のSSP②にリクエストが渡されず、最優先のSSP①が低単価(例:100円)で落札してしまうことがありましたが、Prebid.jsを導入すると、500円の入札があればそちらが適用されるようになります。
これにより正しい競争が行われ、広告の単価(CPM)が向上し、収益の最大化につながります。

広告の透明性が向上

Prebid.jsでは、すべての入札のプロセスを見ることが可能です。

  • どのSSPやDSPが、どの価格で入札したか
  • 最終的にどの広告が選ばれたか
  • 広告の配信速度やレスポンスタイムはどのくらいか

といった内容がブラウザ上で見ることができ、透明性が向上します。

Google AdXと他のSSPが対等に競争できる環境になる

Header Biddingを導入することで、Google AdXが独占的に有利な立場になることを防ぐことができます。以前は、Google Ad Managerを導入すると、Google AdXが最初に広告枠を買える状態でしたが、Header Biddingを活用しPrebid.jsを導入すると、Google AdXも他のSSPと同等の正しい競争が行われ、全体的により高い収益を得られるようになります。

さまざまな広告フォーマットに対応

Prebid.jsは、ディスプレイ広告だけでなく、動画広告やネイティブ広告にも対応しています。

  • ディスプレイ広告(バナー広告)
  • 動画広告(インストリーム・アウトストリーム)
  • ネイティブ広告
  • リワード広告
  • インタースティシャル広告(全画面広告)

Prebid.jsの導入方法

Prebid.jsを導入する方法には、「Wrapper事業者を利用する方法」と「自分でPrebid.jsをダウンロードして実装する方法」の2つが考えられます。それぞれの特徴やメリット・デメリットを解説します。

Wrapper事業者を利用する方法

Wrapper事業者とは、Prebid.jsの導入や管理をサポートする事業者のことです。大きく分けて「SSPを提供している企業」と「メディアの広告運用を専門に行う企業」の2つのパターンがあります。

Wrapperを提供する事業者の種類

「SSPを提供している企業」は、SSPを運営している企業が、Header BiddingのWrapperサービスも提供するケースが多いです。SSPで培った実際のDSPからの入札実績やRTBの専門的なデータを活用し、高度な最適化を行うことができます。
「メディアの広告運用を専門に行う企業」は、広告の収益最大化を目的とした運用支援を行う企業が、Prebid.jsのWrapperサービスの提供を行っています。複数のSSPやDSPと幅広く連携しており、収益最大化のノウハウを活用してパフォーマンス管理なども一括で提供していることが多いです。

Wrapper事業者を利用するメリット

Wrapper事業者を利用する最大のメリットは、技術的な負担が少ないことです。初期設定や運用管理、売上の一本化などを事業者側で対応してくれるため、技術リソースや運用リソースが限られていても導入が可能です。
また、Wrapper事業者は豊富な知見を持ち、導入フローが整備されているため、短期間でHeader Biddingを開始できる点も大きな利点です。さらに、最適化や運用サポートを受けられるのもメリットの一つです。フロアプライスの調整やSSPの選定など、収益最大化に向けた運用や提案をしてもらえる点も魅力です。

Wrapper事業者を利用するデメリット

Wrapper事業者を利用することで多くのメリットがありますが、いくつかのデメリットも考えられます。

まず、手数料が発生する点です。Wrapperの利用料や、収益の一部を事業者に支払う必要があるため、自社で直接運用する場合と比べてコストがかかることがあります。

次に、カスタマイズの自由度が制限されることです。Wrapperの仕様に依存するため、細かいチューニングができなかったり、自社独自の最適化を施しにくい場合があります。

また、SSPやDSPの選択肢が限られることもデメリットの一つです。Wrapper事業者によって接続できる広告ネットワークが異なるため、自社が希望するSSPやDSPと連携できないケースも考えられます。

Wrapper事業者を利用する流れ

  1. 事業者を選定し契約
  2. Prebid.js内で利用するSSPやDSPの提案を受け、初期設定をしてもらう
  3. 提供されたタグをサイトに埋め込む
  4. Google Ad Manager(GAM)と連携し、配信設定を行う

自分でPrebid.jsをダウンロードして実装する方法

Prebid.jsはオープンソースのため、公式サイトからダウンロードし、自社で実装・運用することも可能です。
この方法は、自由度が高く、細かいカスタマイズが可能ですが、その分、技術的なリソースが必要になってきます。

Download Prebid.js:https://docs.prebid.org/download.html

自分で実装するメリット

自社でHeader Biddingを実装することで、以下のようなメリットがあります。

まず、コストを抑えられることです。Wrapper事業者を利用しないため、手数料が発生せず、広告収益をそのまま確保できます。
また、カスタマイズの自由度が高いのも大きなメリットです。利用するBidder(SSP・DSP)を自由に選択できるだけでなく、フロアプライスの調整や広告フォーマットごとの最適化を独自に細かく設定できます。

自分で実装するデメリット

最大の課題は、技術的な知識が必要という点です。Prebid.jsを導入するには、JavaScriptの知識はもちろん、GAMの仕様やHeader Biddingの仕組みを理解している必要があります。
また、運用や最適化に手間がかかることもデメリットのひとつです。Prebid.jsの定期的なアップデート対応や、パフォーマンス最適化のチューニングを自社で行う必要があり、リソースが割かれます。
さらに、Bidderごとの契約や設定がとても大きな負担になるという点もあります。自社で実装する場合、Bidderと1社ずつ契約を結び、枠ごとのIDの払い出しや、各Bidder単位でのブロックリスト設定などを行う必要があります。これらの作業は運用の負担が大きくなる要因となります。

自分で実装する流れ

  1. Prebid.jsの公式サイトから、必要なBidder Adapterを選択し、カスタムビルドを作成
    Download Prebid.js:https://docs.prebid.org/download.html
  2. 配信を行いたいSSP/DSPのアカウントを作成し、枠ごとのIDを取得
  3. WebサイトにPrebid.jsを埋め込み、広告枠、PrebidのConfigを設定
  4. Google Ad Manager(GAM)と連携を行う
  5. 運用・最適化を行いながら、収益の最大化を目指す

どちらの方法を選ぶべき?

項目Wrapper事業者を利用自分で実装
導入の手間簡単技術力が必要
コスト手数料が発生無料
設定の自由度限定的高い
最適化自動化手動でチューニング
契約対象Wrapper事業者とのみ
(SSP/DSPはWrapper側のアカウントを利用可)
利用対象のSSP/DSPと個別契約

Wrapper事業者利用向きのメディア

  • 技術リソースが不足している
  • すぐに導入したい
  • 最適化を専門事業者に任せたい

自分で実装するのが向いているメディア

  • 技術リソースがある
  • 収益を最大化するために細かくカスタマイズしたい
  • BidderやSSPを自由に選びたい

まとめ

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Prebid.jsは、従来のWaterfall方式の限界を克服し、Header Biddingを実装するために誕生しました。広告収益の最大化と透明性の向上を実現し、より高いCPMを獲得でき、SSP間の公平な競争環境を作ることが可能になります。
もしまだHeader Biddingを導入していないメディアであれば、Prebid.jsの活用を検討することで、大きな収益向上のチャンスを得られるでしょう。

著者(writer)
Manegica 事務局

「goo」や「dmenu」をはじめとしたメディアに対して、マネタイズ運用の支援を実施しています。長年のメディア運営によって培ったノウハウや、自社で開発したソリューションを活用し、メディア収益の最大化を実現します。

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