Prebidデバッグガイド!入札状況の確認方法とトラブルシューティング

  • HOME
  • ブログ
  • Prebidデバッグガイド!入札状況の確認方法とトラブルシューティング

はじめに

Prebid.jsは、ウェブサイトで広告の入札を管理し、最も高い入札額の広告を配信するためのHeader Biddingの標準ライブラリです。Prebid.jsが期待どおりに動作しているかを確認し、問題が発生した際に適切に対処することはとても重要です。

この記事では、Prebid.jsのデバッグ方法について、主に「Professor Prebid」と「ブラウザでのデバッグコマンド」の2つの方法に焦点を当てます。入札の流れを理解し、主要なパラメータをチェックしながら、トラブルシューティングや最適化の方法を解説します。

Prebidデバッグとは?

Prebidデバッグとは、入札プロセスの詳細を確認し、正しく動作しているかを検証することです。主に以下の2つの方法を使って行います。

  • Professor Prebid – Chrome拡張機能を使って、Prebid.jsの動作を確認します。
  • デバッグコマンド – ブラウザの開発者ツールを使って、Prebid.jsの設定や入札結果を取得します。

Professor Prebidについて

Professor Prebidは、Prebid.jsのデバッグを簡単に行うためのChrome拡張機能です。このツールを使うと、ページ上でどの広告ユニットが設定されているか、各Bidderがどのように入札しているかを視覚的に確認できます。

導入方法

  1. Chromeウェブストアから拡張機能「Professor Prebid」へアクセスし、Chromeに追加を押します。

ストアリンク:https://chromewebstore.google.com/detail/professor-prebid/kdnllijdimhbledmfdbljampcdphcbdc

Professor Prebid
  1. インストールが完了すると、prebid-debug-7アイコンがChromeのツールバーに表示されます。
  1. Prebid.jsが導入されているサイトに訪問し、サイト上でPrebid.jsがロードされると、Professor Prebidのアイコンに、チェックマークが入り、詳細を確認できるようになります。
Prebid.jsの利用がないサイト訪問時
Prebid.jsの利用がないサイト訪問時
Prebid.jsが実装されているサイト訪問時
Prebid.jsが実装されているサイト訪問時
  1. ツールバー上のprebid-debug-3アイコンをクリックすることで、Professor Prebidのポップアップが表示され、正しく動作していることが確認できます。
Professor Prebidのポップアップ表示

Prebid公式ページ:
https://docs.prebid.org/tools/professor-prebid.html

デバッグコマンドについて

Prebid.jsのデバッグをより詳細に行うために、ブラウザの開発者ツールを活用する方法もあります。Prebid.jsは、JavaScriptコンソールから直接情報を取得できる便利なデバッグコマンドが利用できます。

デバッグモードの有効化

デバッグモードを有効にすることで、より詳細なログを取得できます。

URLパラメータを追加

ページのURLに?pbjs_debug=trueを追加すると、デバッグモードが有効になります。

JavaScriptで設定

pbjs.setConfig({
debugging: {
enabled: true
}
});

いずれかを実行することで、ブラウザのコンソールに詳細なデバッグ情報が出力されます。

主要なデバッグコマンド

  • 入札結果の取得:
    console.log(pbjs.getBidResponses());
    これにより、各Bidderの入札価格(CPM)やクリエイティブ情報を確認できます。
  • アドサーバーへのターゲティング情報の確認:
    console.log(pbjs.getAdserverTargeting());
    Google Ad Manager(GAM)などに送信されるターゲティングデータを確認できます。
  • 設定の確認:
    console.log(pbjs.getConfig());
    Prebid.jsの現在の設定を取得し、適切に動作しているか確認できます。

Prebid公式ページ:
https://docs.prebid.org/troubleshooting/troubleshooting-guide.html#turn-on-prebidjs-debug-messages

入札プロセスの流れを把握する

Prebid.jsを正しくデバッグし、最適化するためには、まず入札プロセスの流れを理解することが重要です。どのタイミングで入札が行われ、どのステップで問題が発生する可能性があるのかを把握することで、適切なデバッグが可能になります。

Prebid.jsの入札は、以下のようなステップで進みます。

Prebid.jsの読み込みとConfigの適用

Prebid.jsライブラリがページに読み込まれ、pbjs.setConfig() により設定された内容が適用され、広告リクエストをBidderに送る準備がされます。

入札リクエストの送信

Prebid.jsは、pbjs.requestBids() を使用して各Bidderに入札リクエストを送信します。このリクエストには、以下のような情報が含まれます。

  • 広告ユニット情報(AdUnit): どの広告スロットで入札を行うか
  • Bidderの情報(BidderCode): どのBidderが入札するか
  • ターゲティング情報: UserID等の広告配信に関する追加情報

Bidderの入札

各Bidderはリクエストを受け取り、入札価格(CPM)やクリエイティブ情報を含むレスポンスを返します。Bidderによっては、入札しない(No Bid)場合もあります。

レスポンスには以下の情報が含まれますが、Bidderによって提供される内容は異なります。

  • 入札額(CPM)
  • クリエイティブURL
  • 広告サイズ
  • 広告の種類(バナー、ネイティブ、動画)
  • その他のBidder固有のトラッカーなど

オークション

Prebid.jsは、すべてのBidderからの入札を比較し、最も高いCPMの入札を選定します。

アドサーバー(GAMなど)への送信

選定された入札結果は、Google Ad Manager(GAM)などのアドサーバーに送信されます。

Prebid.jsでは、この一連の流れをすべて可視化できます。入札のリクエストから、Bidderのレスポンス、入札の選定、アドサーバーへの送信まで、すべてのステップを確認することが可能です。

デバッグ時に確認できる主要パラメータ

デバッグの際にチェックすべき代表的なポイントを、Professor Prebidとデバッグコマンドの両方の視点で解説します。

オークション結果の確認方法

Professor Prebidの場合

  1. Professor Prebidを開き、「AD UNITS」タブを選択します。
  2. Bidder列に入札Bidderが表示され、落札されたBidderには、prebid-debug-1アイコンが表示されます。
Professor Prebidの「AD UNITS」タブ
  1.  Bidderをクリックすることで、入札詳細を確認することも可能です。
Professor Prebidの入札詳細

デバッグコマンドの場合

  1. コンソールで下記コマンドを入力します。

pbjs.getAllWinningBids();

  1. 落札されたBidder情報が確認できます。
落札されたBidder情報

入札状況の確認方法

Professor Prebidの場合

  1. Professor Prebidを開き、「Bids」タブを選択します。
  2. 「RECEIVED BIDS」タブにて、AdUnit Code / BidderCodeに対しての入札単価がCpm列で確認できます。
  3. 「NO BIDS」タブでは、入札がない場合(No Bid)の一覧が表示されます。
入札がない場合(No Bid)の一覧
  1. 「🔼」をクリックすることで詳細が確認できます。
入札がない場合(No Bid)の一覧(詳細確認)

デバッグコマンドの場合

  1. コンソールで下記コマンドを入力します。

pbjs.getBidResponses();

  1. 各広告ユニットごとの入札結果(CPMやBidder名)を確認できます。
デバッグコマンド

Prebid.jsの設定状況(Config)の確認方法

Prebid.jsの動作を正しく把握するためには、設定(Config)が適切に行われているかを確認することが重要です。

Professor Prebidの場合

  1. Professor Prebidを開き、「CONFIG」タブを選択します。
  2. 各種モジュールの導入状況や、各設定値が適切にセットされているかを確認することが可能です。
Professor Prebidの「CONFIG」タブ

デバッグコマンドの場合

  • Prebid Configの確認コマンド
Prebid Configの確認コマンド
  • 各種モジュールの導入状況の確認コマンド

エラーコードの確認

Professor Prebidの場合

  1. Professor Prebidを開き、「EVENTS」タブを選択します。
  2. 発生したエラーが一覧で表示されます。

下記キャプチャ例であると、Server call for Bidder A failed(Bidder A へのサーバーコール失敗)といったエラーが確認できます。この場合、Bidder Aの設定を確認する必要があることがわかります。

Professor Prebidの「EVENTS」タブ

デバッグコマンドの場合

  1. ページのURLに ?pbjs_debug=true を追加もしくは、pbjs.setConfig({debugging: {enabled: true}});を実行し、コンソール上でのデバッグを有効化します。
  2. エラーが発生したBidderやリクエストの詳細が確認できます。

エラーの内容を特定し、設定ミスの修正やタイムアウト値の調整など、適切な対策を行いましょう。

最後に

Prebid.jsは、入札の透明性を確保したソリューションです。Professor Prebidやデバッグコマンドを活用することで、入札プロセスのすべての情報が確認できます。どのBidderが入札しているのか、どの広告が選ばれたのか、なぜ入札が発生しなかったのかなど、すべての情報が手元で可視化されます。

Prebid.jsのデバッグは、単なる問題解決ではなく、広告配信の最適化にもつながります。どのBidderが競争力を持っているのか、価格設定が適切か、ターゲティングの設定が適正かを確認しながら、広告収益の最大化を目指しましょう。

著者(writer)
Manegica 事務局

「goo」や「dmenu」をはじめとしたメディアに対して、マネタイズ運用の支援を実施しています。長年のメディア運営によって培ったノウハウや、自社で開発したソリューションを活用し、メディア収益の最大化を実現します。

関連記事一覧